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仙台地方裁判所 昭和57年(わ)35号 判決

裁判所書記官

津口吉彦

本店所在地

宮城県本吉郡唐桑町字高石浜一二五番地

株式会社川村商店

(右代表者代表取締役川村賢壽)

本籍

右同所

住居

右同所

会社役員

川村賢壽

昭和二四年五月二日生

右両名に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官宮森正昭出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社川村商店を罰金六〇〇万円に、被告人川村賢壽を懲役一〇月に各処する。

被告人川村賢壽に対し、この裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社川村商店(以下被告会社という)は、宮城県本吉郡唐桑町字高石浜一二五番地に本店を置き、海藻類塩乾加工販売等を営業目的とする資本金一、〇〇〇万円の株式会社であり、被告人川村賢壽(以下被告人という)は、被告会社が設立された昭和四九年の当初からその取締役として業務全般を統括していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し法人税を免れようと企て、売上の一部を除外して簿外預金を設定するなどの方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和五三年三月一日から同五四年二月二八日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四三、一八二、七三三円で、これに対する法人税額が一六、一二五、四〇〇円であったにもかかわらず、同五四年五月一日、宮城県気仙沼市古町三丁目四番五号所在の所轄気仙沼税務署において、同税務署長に対し、所得金額が八、五〇七、九八六円で、これに対する法人税額が二、三〇八、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により被告会社の右事業年度の正規の法人税額と右申告税額との差額一三、八一七、二〇〇円を免れ、

第二  昭和五五年三月一日から同五六年二月二八日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が八四、八九〇、九三二円で、これに対する法人税額が三二、二三六、二〇〇円であったにもかかわらず、同五六年四月三〇日、前記気仙沼税務署において、同税務署長に対し、所得金額が四四、九九六、二八二円で、これに対する法人税額が一六、三〇〇、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により被告会社の右事業年度の正規の法人税額と右申告税額との差額一五、九三五、七〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  大蔵事務官作成の簿外預金等調査書

一  登記官作成の登記簿謄本

判示冒頭及び第一の事実について

一  被告人の検察官に対する昭和五七年一月一一日付け供述調書(一)

判示第一の事実について

一  川村悦子及び遠野光輝の検察官に対する各供述調書

一  大蔵事務官作成の銀行調査書及び法人税修正申告書の謄本

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(一)

一  押収してある預金管理ノート一冊(昭和五七年押第六〇号の一)、商品在庫調一枚(同押号の二)、仕入明細書等三枚(同押号の三)、精算表等の決算資料五四点(同押号の五の一ないし二六)及び法人税確定申告書一綴(同押号の六)

判示第二の事実について

一  大蔵事務官の被告人に対する質問てん末書五通

一  被告人の検察官に対する昭和五七年一月一一日付け(二)、同月一二日付け及び同月一三日付け各供述調書

一  大蔵事務官の佐藤明典に対する質問てん末書

一  佐藤明典の検察官に対する供述調書

一  大蔵事務官の大久保徹、荒木敬三及び高橋莞爾に対する各質問てん末書

一  大蔵事務官作成のたな卸除外額調査書

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(二)

一  押収してある金利請求書四枚(昭和五七年押第六〇号の四)及び法人税確定申告書一綴(同押号の七)

(法令の適用)

被告人の判示各所為はいずれも昭和五六年法律第五四号附則五条により同法による改正前の法人税法一五九条一項に該当し、被告会社は同法一六四条一項、一五九条一項の適用を受けるべきところ、被告人については所定刑中懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告人については同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一〇月に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から二年間右の刑の執行を猶予し、被告会社については同法四八条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で被告会社を罰金六〇〇万円に処することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 野口喜威 裁判官 北野俊光 裁判官 波床昌則)

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